10/9 週報巻頭言より

『音吉たちの生涯から学ぶこと』    No.167

「苦難の中から主を呼び求め わたしの神に向かって叫ぶと その声は神殿に響き 叫びは御前に至り、御耳に届く。」(詩編18編7節)

 先週の火曜日、私は第61回「聖書和訳頌徳碑記念式典」に参加しました。1835年ドイツ人宣教師ギュツラフが、マカオの地で知多半島出身の漂流民の岩吉・久吉・音吉(通称、三吉)の助けを得、プロテスタント初のヨハネ福音書を翻訳。幕末来日のヘップバーン宣教師(ヘボン式ローマ字の産みの親)も、三吉の携わった聖書和訳の功績について語っています。音吉はシンガポール、上海を拠点として貿易で成功。幕末・明治期には、日本と英国の政府間交渉の立役者となりました。

 今年は三浦綾子さんの生誕100周年。映画「塩狩峠」と「海嶺」の2作品がデジタルリマスター化されました。小説「海嶺」には、音吉が主人公となり、商船廻船「宝順丸」が太平洋上で嵐に遭い、アメリカ西海岸に漂着、13名の乗組員の内、若い3名(三吉)のみ生存という過酷な運命を経験したことが描かれています。音吉は後に英国籍を取得。クリスチャンになりました。

 苦難の多い人生を、信仰の支えなくして乗り越えることは出来なかったことでしょう。私は、苦難は忍耐、忍耐は練達、練達は希望につながることを確信し、名古屋に戻ってきました。御言葉を広く世の中に伝える意義も味わいながら。

-週報巻頭言, 牧師のお話