6/27 週報巻頭言より

『バビロンの流れのほとりにて』     No.102

  バビロンの流れのほとりに座り シオンを思って、わたしたちは泣いた。

   竪琴をほとりの柳の木々に掛けた。(詩編137編1,2節)

ここ最近、森有正のエッセー「バビロンの流れのほとりにて」・「流れのほとりにて」をよく読んでいます。「僕」の目を通して、フランス、イタリア、ドイツを旅をし、外国人に日本の文学・古典を教え、西洋哲学・思想を研究する日本人の魂のさすらいを描くもので、創作的要素もあり、不思議な味わいのある文体です。“バビロンの・・・”は、西洋の哲学者の著作の言葉から触発されて森がタイトルに採用したようです。遠いふるさとを思い、帰りたい・帰れない。望郷の念に駆られるイスラエルの民に、異国の地(バビロン)の人々は冷たい視線を向けます。

 この状況は、実は私たちの日本に暮らす在日外国人の人々も味わう孤独・悲しみでありましょう。コロナ以前の交わりを懐かしみながら、対面での礼拝の再開、対面での交わりを待ち望む私・私たちの心情にも重なるものがあります。震災の為に故郷を追われた人々の思いにも重なるものを感じます。  私たちの救い主が共にいてくださるからこそ、苦しみを耐え、乗り越える力が与えられることを、森有正の言葉、そして、聖書はわたしたちに教えてくれます。

-週報巻頭言