12/13(日)週報巻頭言より

『神様への感謝をささげよう』     No.74

神を愛する者たち、つまり、御計画に従って

召された者たちには、万事が益となるように

共に働くということを、わたしたちは知っています。

(ローマの信徒への手紙8章28節)

 私が東海聖書神学塾で担当するキリスト教文学では、クリスチャンの作家の作品と共に、当人はクリスチャンではないという自覚があっても、求道の思いがにじみ出ているような作家の作品も取り上げています。先週、今週の2回にわたり、カミュの『ペスト』を取り上げています。ペストは不条理小説と言われますが、カミュの神様への叫び、不条理の中にあっても誠実に生きることへの願いが如実に描かれています。主人公の医師と共に、カトリックの司祭が登場します。この二人の対話が非常に興味深いのです。カトリックの司祭は、小さな町で起こったペストが、この時代に対する神様の裁きであり、罪と罰だというメッセージをします。途中に登場する少年の死を通して、罪なき者の死という現実に打ちのめされ、司祭も病に倒れるのですが、2度目のメッセージでは、神の裁きについて語らず、この災厄の中でも、私たちに問われているのは、「神を信じるのか否か」だと語ります。彼自身は信仰を貫きます。今コロナ危機に苦しむ世界にあっても、希望がないのではなく、神様と共にあるそこに、神様の恵みがあることを私たちは知っています。クリスマスの恵みを祈ります。

-牧師のお話