8/30 週報巻頭言より

『引き際・去り際について思う』     No.59

「イエスは、この世から父のもとへ移るご自分の時が来たことを悟り、世にいる弟子たちを愛して、この上なく愛し抜かれた。」(ヨハネ福音書13:1より)

先週、一つのニュースが驚きと共に報じられました。安倍総理大臣の辞任表明です。第1次安倍内閣で辞任することとなった時と同様に、健康上の理由でした。戦後の総理大臣としては最長の在任期間でしたが、この間に安全保障関連、沖縄の基地問題、森友・加計問題など、様々な課題を残し、最後は疑惑を残しての7年間でした。重責を担ってこられた労苦を思い、ご健康の回復を祈ります。同時に、うやむやになった事実の解明が進むことも切望します。

リーダーが退く時、それなりの理由があります。他から権力の座を追われる場合。あるいは優れた後継者を指名し、禅譲という形で、安定的に継承が行われる場合。

私たちの主イエス・キリストがこの世を去るにあたってはどうでしょう。「ご自分の時」=十字架の死と復活の時が近づいてきた時、主はどう行動をとられたのでしょうか。弟子たちを「この上なく愛し抜かれ」て、一人ひとりの弟子たちの足を丁寧に洗い、手ぬぐいでふき始められたというのです。足を洗い合うとは互いの罪を赦し合うことです。人としての生き方の見本を、しっかりと残されたのがイエス様でした。引き際・去り際は、こうでありたい。混乱とむなしさではなく、愛を人々の心に刻んで。

-お知らせ