あなたのことが大事だよ

2017/04/03

「人は何のために生きるのか」。

これは、クリスチャンになる前の若い私にとっての真剣な問いでした。高校生の頃、同時期に、自分にとって大切な存在を失う体験をしました。家族の死とペットとの別れです。

大好きな祖父が、余命がわずかとなった時、私は、真剣に命のことを考えました。当時、ミッションスクールに通っていた私は、祈り方がよく分からないながらも、毎日真剣に祈り続けました。「神様、私の大好きなおじいちゃんの命を、少しでも長らえさせてください。

私の寿命を縮めてもかまいません…」。

ちょうどその頃、小学2年生から飼っていた犬が、病気のために、死にかけていました。犬のためにも祈りましたが、そのかいもなく、祖父も、犬も、相次いで亡くなりました。 生きとし生けるものは死ぬのだという現実と、あまりにあっけない別れに深い喪失感を覚えました。ある日、私は一つの夢を見ました。

医者から、余命3か月と宣告された夢でした。自暴自棄になった私は、叫びました。「なぜオレは、死ななければならないんだ!こんなに若いのに、あれも、これも体験していない」。

翌朝目が覚めたときには、夢で見たことが現実ではないことが分かって、ほっとしました。しばらくして、黒人差別の問題と闘ったマーチン・ルーサー・キング牧師のドキュメンタリー番組を見る機会がありました。キング牧師が、「汝の敵を愛せよ」との聖書の言葉にもとづき、非暴力で、差別の現実に抵抗しようと努力する姿に、私は、心の底から感動しました。「私もこの人のように生きたい!

いつかクリスチャンになって、信念をもって苦しい思いを抱えている人と共に生き、困っている人を助けられるような人間になりたい」。

数年後、大学2年生になった私は、教会に通うようになり、やがて、クリスチャンになりました。

クリスチャン、それは、イエス・キリストを信じ、従う生き方を選んだ人のことです。ところで、イエス・キリストとは、いったい何者なのでしょう。

今から2000年ほど前、ユダヤのベツレヘムという町に、ひとりの男の子が生まれました。それが、イエス・キリストです。

この方は、30歳の頃、ユダヤの各地をめぐり、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ福音書1章15節)と、メッセージを人々に伝えました。

「神様は、あなたのことを愛してくださっている。あなたが、過去に、どんな悪いことをしてしまったからといって、くよくよ悩むことはない。今、これから先、あなたがどのような人生を歩んでいこうとするのかが大事!神様は、あなたの人生を良い方向へと導こうとなさっておられる」。

イエス・キリストは、困っている人がいるならば、独りぼっちにほうっておける人ではありませんでした。病気の人、悩みを抱えている人、人から後ろ指を指される職業の人、差別されている人を見れば、その人のことを心から同情し、困っているのであれば、何とか解決の道が与えられるように、関わり続けました。その人の友となり、「私は、あなたの味方だよ。私も、あなたの人生を一緒に歩んでいこう」と語りかけました。イエスは、最後まで、そういう人生を貫きました。

イエスは人生の最後、十字架にかけられて殺されてしまいます。なぜでしょう。普段からイエスのことをよく思わなかった一部の人たちから、「自分のことを、“神の子”と偽証して、特別な存在だと、自己アピールをしたペテン師だ」と、訴えられ、イエスのことを信じて従ってきた弟子たちからも、見捨てられて、十字架にかけられてしまいます。十字架で死んで3日目、驚くべきことが起こります。死んだはずのイエスが、弟子たちの前に姿をあらわします。

イエスは、「あなたがたに平和があるように。」(ヨハネ福音書20章19節)と弟子たちに語りかけました。弟子たちは、イエスと同じように逮捕され、十字架にかけられるかもしれないと、隠れ潜んでいました。「知らない。あの男と私は一切関係がない」とイエスを否定して、逃げ出してしまった者もいたのですが、その弟子たちに、何のとがめだてもなさらずに、「大丈夫!

もう心配しなくてよいのだよ」と声かけをされたのです。さらには、「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」(ヨハネ福音書20章21節)と語り、自分たちが見たこと、聞いたことの証し人となるようにと、弟子たちの背中をそっと押し出したのでした。弟子たちは、その後、どうなったでしょうか。

なんと、全世界に出かけていって、イエスの十字架の死と復活の出来事を語る人に変わっていったのです。イエスと出会った人は、皆変えられます。

「あなたのことが大事だよ。あなたのことを誰よりも愛しているよ」と、弟子たちに語りかけるイエスは、私たち一人ひとりにも、語りかけてくださるお方です。

あなたも、このイエスと出会ってみませんか!

-牧師のお話